1986
トゥインクルレース(ナイター競馬)を開催
2018
「東京メガイルミ」グランドオープン
1986
トゥインクルレース(ナイター競馬)を開催
2018
「東京メガイルミ」グランドオープン
トップメッセージ
世界に開かれたTCKへ。
世界と競い合うTCKへ。
前・大井競馬開催執務委員長
斉藤 弘
2021年11月、世界唯一の左右両回りコースを導入するTCK。
ここから、どんな競馬が始まるのか。
その先に、どんなビジョンを描いているのか。
前・大井競馬開催執務委員長 斉藤弘が、新しい世界へ走りだしたTCKのこれからを語ります。
ー世界唯一の取り組みとなる左右両回りコース。
導入を検討するきっかけは何だったのでしょうか?
4年くらい前でしょうか。TCKの国際化というものを進めていた時に、ヨーロッパの芝の競馬を、もう一度きちんと見ようということになったんです。それで、凱旋門賞で有名なパリ・ロンシャン競馬場に行く計画を立てていたのですが、せっかくフランスに行くのならその近くに何か面白いところはないかと思って調べていた時に、メゾンラフィット競馬場(※ 現在は閉場)のことを知ったんです。すごく広くて、直線が長いのが有名なコースなのですが、それを生かして左と右、両回りでレースをやっているということがわかった。両回りってどういうことなんだ?と思いました。ちょうどその時、たまたま、フランスのクアトロ騎手が期間限定騎手としてTCKに来ていまして、彼に、「メゾンラフィット競馬場で両回りをやっているそうだが、乗ったことはあるか?」と聞いたら「ある」と答えました。「本当にやってるんだ!これは面白いな」ということになり、TCKでも実現できないだろうかということで検討が始まりました。他の競馬場にはなかなかできないことだと思うので、もし本当に実現できたら、面白いだろうなと思っていました。
ー検討を始めてから実現まで4年。
やはり、それだけ困難も多かったということでしょうか?
大井競馬場はシンメトリーな形で、坂もなくて平坦なんです。だから、基本的には大きな課題というのはないはずでした。しかし、実現に向けて動き出した時に一つ、右回り用のスターティングゲートをそのまま逆向きには設置できないという課題が出てきた。ゲートをどうやって左回りに対応させていくかを確かめて改修・改造していくのに、だいたい1年かかりましたね。あとは競馬関係者の方々のご理解ですね。大井競馬場はずっと右回りでやってきて、右回り基準ですべてのものができているので、それが左回りになるとどうなるのか。騎手や調教師といった関係者からは大丈夫か?という不安の声もありました。
やはりまず、レースは安全に開催されなければならない。ですので関係者の意見を聞いて、どうすればいいのかという検討を繰り返していきましたね。調教中に左回りの練習をやってみて、意見を聞き、施設面でカバーできることがあれば対応していきますし、後はやはり、左回りコース導入と同時にいきなり左回りレースばかりやるのではなくて、「開催期間中に1レース」「1日に1レース」というふうに少しずつ積み上げるように取り組んでいくことが大事だと考えています。
ーその左回りコースが導入されることで、この先、どのような展望が開けてきそうでしょうか?
JRAのダートでは、大きなレースはほとんど左回りですし、国際化を視野に入れれば、海外のダートもやはりほとんどが左回りです。TCKはサンタアニタ競馬場との提携をしているので、これを機に、サンタアニタにも声を掛けて「優秀な馬、どんどん来てください」というふうにやると、やっぱり盛り上がると思います。TCKの左回りコースが順調に浸透していけば、大井の馬がJRAや海外の強豪馬とも対峙できる日が来るだろうし、海外の有力馬が大井の重賞レースに出走してくれる可能性だって出てくると思います。
ーTCKは地方競馬の中でもトップグレードのレースを多く開催しているだけに、ますます楽しみですね。
そうですね、いまは積み上げていくことを第一に考えていて、まず距離は1,650m限定で始めます。それで、ゲート位置の問題などをうまく解決していければ、1,000mとか2,000mとかさまざまな形のレースをお客様にお届けできるのではと思っています。いくつかの重賞レースについても、将来的には左回りにしていくことも可能なのではないかと考えています。
あと、競馬場が左右両回りになると、そこに所属している馬たちはそのための練習をするようになる。右回り左回り両方練習していくことになると、バランスの良い馬体を作っていける可能性はありますね。その結果、大井の馬の質が向上して、強くなっていく、ということはあるのではと思っています。
コースの話だと、左回りのコースでも直線は300m取れるんです。左回りになっても、直線で相当長い距離を取れるので、面白くなるんじゃないかなと思っています。
ーこれまでもTCKは、「日本初」「地方競馬初」の取り組みで、世の中を驚かせてきました。
そういう新しい挑戦への原動力は、どのように生まれてくるのでしょうか。
TCKのDNAというのは、立ち止まらないことだと言われていて、長年、先輩方がいろいろな形で競馬に向き合ってきました。そのDNAが、今も引き継がれているんだろうと思っています。
我々は、それほど大きな組織ではないので、だからこそ、一つにまとまってみんなが同じ方向を向けば、ある程度すばやく動けるという強みがあります。職員全員が競馬に対していつも「新しいものは何か」「お客様に喜ばれるものは何か」「強い馬を育てるにはどうすればいいか」ということを日々考えて、そのアイデアを、なるべく実現する方向で考えています。それが、日本初という結果につながっているのかなと思います。
ー世界唯一の左右両回りコース。ファンのみなさまには、どのように楽しんでいただきたいですか?
右回りと左回りとではゴール位置が違うので、どちらのレースもゴール前で見ようと思うと、歩いて移動しなきゃいけない。けれど私は、そういうのも楽しいんじゃないかと思っています。競馬場だから、いろいろな場所を歩いて見て回るのもいいじゃないですか。実際のレースを現場で見る人にとっては、馬が左から来たり、右から来たり、ゴール位置に合わせて移動することでまた面白い競馬の見方が生まれてくるのではないでしょうか。
それと、今回の左右両回りコース導入に限らず、大井競馬場というのは東京都心にあって一番と言っていいほど立地に恵まれているので、どこよりも足を運びたくなる魅力を持っていないといけないと思っています。
社会の国際化というものが再び進みだした時に、そしてこのエリアがいままで以上に栄えていくという時に、東京の夜の楽しみとして、大井競馬場があるということを我々も認識しないといけません。コロナ禍でいままでどおりに観戦できなくなり、だからこそ、いままで以上に競馬場で実際に見ることの価値が、上がってくると考えています。
ー最後にあらためて、ファンのみなさまへのメッセージを。
コロナ禍でおよそ2年間、閉鎖的な環境で過ごされた方も多いかと思います。我々TCKは、いまこの時もみなさまのために、いろいろな工夫をして、レースを開催していこうと考えております。多くの方々にご来場いただけるようになったらぜひ、東京都心で唯一の広大な大井競馬場で、少し羽を伸ばして生の競馬を楽しんでいただきたいなと思っております。
ーありがとうございました。
Project Episode
安全も正確性も楽しさも。
すべてを、
両回りで実現する。
東京都競馬株式会社 常務取締役
松田 芳和
開場以来ずっと、“右回り専用”だった大井競馬場で、
左回りレースも行えるように。
この大きな変化に伴い施設を改修していく上で、どのような困難やチャレンジがあったのか。
大井競馬場の施設管理を行う東京都競馬株式会社の松田芳和さんにお話を伺いました。
最初の難題は、「ゴールをどこに設置すべきか」
TCKで左回りコース導入というプランを聞いた時は、やはりびっくりしました。ただ、もし実現すれば多様なレースも開催できるようになりますし、大井競馬場の魅力が一段と上がると思いました。
最初に考えたのは、どこをゴールにするのかということ。それが一番大きな課題だと思いました。大井競馬場というのは、右回り専用でいろいろな設備が作られていますので、課題はありました。馬場そのものは右回りでも左回りでも変わらないのですが、やはりレースをやるとなると、どこを発走地点にするのか、どこがゴールになるのか、スタンドとの関係はどうなるのか、などいろいろな問題が出てきますので。
馬場だけ左回りにしても、レースはできない。
ゴール地点をどこにするのかというのが、その他のいろいろなことを決めていく上での基準になっていました。競馬が一番盛り上がるのは、ゴール前の直線です。ですからその直線の距離はしっかりと取らなければならない。なので、右回りコースのゴールをそのまま、左回りコースのゴールにはできないんですよ。ゴール板の位置が変わるとなるとゴール板の前に置かれる決勝審判室も新たに作らないといけないですし。右回りを基準に諸施設が作られていたので、左回りを導入するにあたって新しい設備や機器を作ったり、調整したり、連動させたり。そういうことが大きな問題になりました。
その次の段階では、調教をどうするかの検討ですね。いろいろな調教師の方々のお話を参考にしつつ、整備に向けたプロセスを積み上げていきました。
馬は繊細な動物。そのことに、どこまで配慮できるか。
当初予想もしていなかった困難もありました。馬がパドックから本馬場に入っていく時には、当然ながらそのための出入り口があるんです。その出入り口が、ちょうど左回りコースで馬が第3コーナーを回っていく時の視線の先にあることがわかったんです。そうすると、馬がゴールじゃなく、そちらの方を向いてしまうんじゃないかという恐れが出てきまして、出入り口の位置を少しズラすという対応をしました。
馬というのは非常に繊細な動物ですので、いろいろな新しい刺激に対して敏感です。その辺りを考慮した上で、主催者の方々や調教師の方々の意見をよく伺いながら、計画を進めていきました。
いままでよりもさらに多彩なレースを。多彩な楽しさを。
もともと大井競馬場は、地方競馬の中でもゴール前の直線が長いことで知られています。今回新設された左回り1,650mのコースでは、右回り1,600mのコースよりもさらに直線距離が長く取れるので、そこにも着目して楽しんでいただきたいなと思います。
また、大井競馬場は単なる競馬場ではなく、「アミューズメントパーク大井」として、イルミネーションやウマイルスクエアなどさまざまなイベントを開催してきました。みなさまが再び競馬場に集まれる状況になれば、また新しい取り組みでお迎えしていきたいと考えています。
競馬の世界では、インターネット投票という楽しみ方が定着した一方で、現場で観戦しなければ味わえない魅力もあります。ですので、ぜひ競馬場の方にも足をお運びいただきたいなと、私どもは考えております。
競馬ジャーナリスト
合田 直弘
堂々たる
ワールドスタンダードへ。
ダート競馬の本場は、3歳3冠を含めた主要競走の多くをダートで施行している北米だ。全米におよそ80箇所ある、サラブレッドの平地競走を行う競馬場は、すべからく左回りである。高額な賞金を掲げてダートの国際競走を行っている、中東の競馬場も左回りだ。
左回りを導入すると聞いて、大井の競馬はこれで、堂々たるグローバルスタンダードだと思った。大井を舞台に、ダートの世界選手権が開催される環境が整ったのである。東京大賞典や帝王賞に北米の一線級が参戦する日が、遠からずやってくるはずだ。
かつて東京競馬場で右回りの競馬が施行されていた時代を知っている者にとって、これが廃止されて以来37年ぶりに、1つの競馬場で両回りの競馬が見られるのが嬉しくて堪らない。将来的には、スプリント戦から長距離戦まで各カテゴリのビッグレースが行われることを期待したい。大井競馬は、計り知れないポテンシャルを秘めた競馬場と言えよう。
元騎手
佐藤 哲三
"大井(左)"に強い馬、
現れるか。
いよいよ大井競馬場で左回りの競馬が行われますね。
当面は1650mのレースを行うようですが、近い将来、大井競馬場から世界へ!と思うと今から胸が高鳴ります。なぜならダート競馬の頂点はアメリカであり、左回りのスピード競馬が主流であるからです。
大井競馬場のコース自体の癖はほとんどない印象で、1650m戦のスピード競馬が見られるのは今から楽しみです。僕自身、同じコースで左右両回りでの騎乗はトレーニングセンターでの調教の時だけでした。その時の感覚はハロン棒の見え方が違ってくるので時計の感覚が少しズレてしまう事がありました。南関東のジョッキーは浦和、船橋、川崎の3場で左回りレースを経験しているのでスピード感覚は充分身体に染み付いていると思います。問題無くレースに臨めるのではないでしょうか。お馬さんにとっても同様に左回りは慣れていると思うのでレースでの違和感は感じない気がします。ただ、戸惑うとしたら返し馬かもしれません。ゴール板まで歩かせて返し馬に行ったとき、その辺りで戸惑う馬が居るかチェックしてみたいですね。いずれ大井での左回りが得意な馬、大井の左回りが好きなジョッキーが傾向として出てくるのか、そういう所も注目しつつ、左回りの大井競馬を楽しみにしています。
フリーアナウンサー
杉本 清
想像しただけで
胸が高鳴る。
「あっ、香港のハッピーバレー競馬場に似てる」
モノレールから見た大井のナイター競馬。その大井競馬場に初めて足を踏み入れたのは、神様(大川慶次郎さん)とのトークショー。「外れたゾ!」、スタンドからの野次に「あなたはどうでしたか?」。平然と返された態度に感心。流石だった。人馬対決の実況もした。TBSのオールスター感謝祭で予選を勝ち抜いた面々で構成されたタレントチームと馬との競走。鞍上は的場文男騎手だった。大井競馬場と聞いただけで次から次へと思い出が。
そこに、左回りのコースが開設された。
ダートの左回りで即、浮かんだのは第121回ケンタッキーダービーに出走するスキーキャプテンと武豊騎手に同行したチャーチルダウンズ競馬場。遠かった。本馬場入場ではスタンドの全員が総立ちで『マイ・オールド・ケンタッキー・ホーム』の大合唱を…。感極まった。鳥肌が立った。初めてだった。左回りというだけで世界の仲間入りをしたように誇らしく思う大井競馬場で、いずれは、世界のダート王決定戦が大井競馬場でも…。想像しただけで胸が高鳴る。東京のド真ん中で、そんなステージになっていくことを。
SAゼネラルマネージャー
NATE NEWBY
サンタアニタ競馬場のネイト・ニュービーです。
親愛なる大井競馬場の皆様にご挨拶申し上げますとともに、新しい左回りの成功をお祈り致します。(左回り)はとてもエキサイティングな新しい試みだと思います。
私たちは大井競馬場とのパートナーシップをこれからも継続していくことを楽しみにしています。
競走担当役員
CHRIS MERZ
大井競馬場では、左回りのレースを実施すると聞きました。
これにより、アメリカの調教師たちの参戦を迎え入れることができるだけでなく、
ブリーダーズカップや三冠レースに参加する際に、少しでも慣れることができるようになります。
とてもエキサイティングで、大井競馬場のこれからの発展に関わるパートナーであることを
とても嬉しく思います。
ワクワクする内容ですね!
願わくば、日本のホースマンたちにもアメリカに来てもらい、またこちらからも日本に行って
良い関係を築いていきたいですね。
ダグオニール厩舎
アシスタントトレーナー
LEANDRO MORA
レアンドロです。
日本には2回行ったことがあります。また3頭の馬を日本に送りました。
2頭はジャパンカップ、1頭は大井競馬場です。
私はそのことを誇りに思います。
日本に呼んで頂き、150%の一流のおもてなしを受け、とても嬉しかったです。
日本の競馬は本当に素晴らしい!