レースヒストリー
私が入社した2007年。南関東はアンパサンド、フリオーソ、トップサバトンがそれぞれタイトルを分け合う戦国クラシック。帝王賞は的場文男騎手騎乗のボンネビルレコード(この時はJRA所属)が勝ち、ヴァーミリアンが圧勝で東京大賞典を制した年。JRAではウォッカが64年ぶりとなる牝馬で日本ダービー制覇。憧れだった業界で働くことができ、競馬漬けの毎日が楽しくて仕方なかった。その気持ちは10年以上たった今でも全く変わらない。
その2007年11月17日福島2レースで衝撃の光景。サクセスブロッケンが2着を3秒以上引き離す大楽勝で新馬勝ち。そこから当然のように私の中での追い続ける存在になった。4連勝で日本ダービーにも挑戦。2008年JDDを圧勝し名実共に世代ダートトップの存在に。ただこの頃はカネヒキリ、ヴァーミリアン、エスポワールシチー、カジノドライヴ、…歴史に名を残す実力馬達がひしめき合うハイレベルな時代。サクセスブロッケンもJDD後は翌年のフェブラリーSまで勝利は遠のいた。
フェブラリーS後休養し、秋3戦しむかえた2009年の東京大賞典。
1番人気はこの年の帝王賞、JBCクラシックを制した武豊騎手騎乗のヴァーミリアン。サクセスブロッケンは2番人気。セレン、フリオーソと南関の実力馬も出走しダートレース総決算にふさわしい1戦となった。レースはフリオーソが先手を取ると流れが落ちつき超スローペース。1000M手前でゴールデンチケットが動き一気にペースアップ。サクセスブロッケンは最初折り合いに苦労していたが周囲が動いたときに我慢したことが最後の伸びにつながった。直線は鞍上内田博幸騎手の激しいアクションに応え先に抜け出したヴァーミリアンに一歩ずつ迫りハナ差出たところが栄光のゴールだった。
大井の取材班として初めての東京大賞典。湧き上がる大歓声、目の前で繰り広げられた大接戦に魅せられ、酔いしれたことを昨日のことのように覚えている。
これが最後の勝利となったサクセスブロッケンは現役引退後は誘導馬に転身。今年の第87回日本ダービーで誘導馬を務め、現役時代と変わらない漆黒の雄大な馬体で堂々と先導を務めあげた。
今年は限られた観客の中、いつもとは少し違う東京大賞典。ただ競馬の熱気、想いは決して冷めることなく1年の総決算としてふさわしいレースが繰り広げられるに違いない。
日刊競馬 市川 俊吾