TOKYO DAISHOTEN
第69回(令和5年)の東京大賞典を制したのは、単勝オッズ1.7倍の支持を集めていたウシュバテソーロ。逃げ粘るウィルソンテソーロを決勝線の手前でかわし切り、第68回(令和4年)に続く2連覇を達成した。また、第64回(平成30年)から第67回(令和3年)にかけては、オメガパフュームが4連覇の偉業を成し遂げている。この東京大賞典に対し「連続で勝利した馬がたくさんいるレース」「いわゆる“リピーター”に注目しておきたい一戦」というイメージを持っている方もいるのではないだろうか。
ただし、創設当初からのトータルで見ると、生涯で2勝以上をマークした馬は思いのほか少ない。史上初めて複数回の優勝を果たしたのは、第30回(昭和59年)と第33回(昭和62年)を制したテツノカチドキ。史上初めて複数年連続の優勝を果たしたのは、第50回(平成16年)と第51回(平成17年)を制したアジュディミツオーだ。他に複数回の優勝例があるのは、第56回(平成22年)と第57回(平成23年)を制したスマートファルコン、第59回(平成25年)と第60回(平成26年)を制したホッコータルマエだけ。つまり、昨年の優勝馬ウシュバテソーロは、当レース連覇を達成した史上5頭目の馬、当レースで2勝以上をマークした史上6頭目の馬ということになる。
ちなみに、第63回(平成29年)の優勝馬コパノリッキーは、前年までに東京大賞典を3回走って2着→4着→5着。生涯でGⅠ・JpnⅠ競走を11勝した歴史的名馬だが、4度目の挑戦となったラストランでようやくこのレースを勝ち切ることができた。また、第58回(平成24年)の優勝馬ローマンレジェンド、第61回(平成27年)の優勝馬サウンドトゥルー、第62回(平成28年)の優勝馬アポロケンタッキーは、それぞれ東京大賞典で初出走初勝利を果たしたものの、翌年以降の東京大賞典における成績は、ローマンレジェンドが6着→5着、サウンドトゥルーが3着→2着→4着、アポロケンタッキーが4着→10着である。
選定されれば何度でも出走可能な古馬重賞とはいえ、複数年に渡って現役屈指の競走能力をキープし、なおかつ良好なコンディションでこの時期を迎えるというのは、至難の業だ。この東京大賞典に対しても、そう簡単に連覇できるレースではないという認識を持っておくべきだろう。
執筆時点での報道によれば、節目の開催となる今年の第70回東京大賞典には、2連覇中のウシュバテソーロがエントリー予定とのこと。無事に出走してくれば、オメガパフュームに続く史上2頭目の3連覇達成がかかった一戦となる。また、仮にウシュバテソーロの出走が叶わなかった、もしくは他馬に先着を許す結果となった場合、今年の優勝馬が来年以降の東京大賞典でどんなパフォーマンスを見せてくれるのかも気になるところ。過去の歴史や将来の展望も意識しながら結果を見守りたい。
伊吹雅也