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INTERVIEW
職員インタビュー

レース後の
ハイタッチが
私の心を動かしました

厩舎管理課 獣医
M
2023年度新卒採用

1日のスケジュール

平常業務日

レース開催日

09:00

出勤、メールチェック

10:00

入退厩手続きの受付

12:00

休憩

13:00

誘導馬の診療

14:30

入厩検査

15:30

医薬品、消耗品の在庫確認

16:00

診療日報や契約事務処理等の事務作業

17:45

退勤

13:15

出勤、準備

13:30

傷害馬診断

14:50

第1レース後の馬体確認

以降全レースで実施

21:00

傷害馬カルテの記入

22:00

退勤

馬との出会いが導いた競馬場での獣医職

私は学生の時、獣医学部にいましたが、もともと馬に特別な興味があったわけではなく、漠然と犬や猫の動物病院への就職を考えていました。ですが、就職活動の直前にウマ娘ブームがあり、それをきっかけに馬に興味を持つようになりました。都内で馬の診療所を探していたところ、大井競馬場を見つけ、厩舎地区にある診療所で実習を受けることになりました。診療所の先生と一緒に大井競馬場を回る中で、親しみやすい雰囲気がとても気に入り、「ここで働きたい」と強く思うようになりました。特に印象に残っているのが、レース後、馬たちが診療所の前を通った時に、先生が厩務員さんに声をかけ、勝った馬には「おめでとう」と言いながらハイタッチしていた光景です。その姿を見て、「競馬場で働くのって素敵だな」と感じました。その後、特別区競馬組合の獣医職採用募集を知り、応募し、2023年に晴れて入庁することができました。
入庁後は、JRA主催の新人獣医研修があり、競馬場での一般業務の見学や馬の疾患に関する講義の受講、競走馬の薬物検査を担当する競走馬理化学研究所の見学など、競馬に関わる知識を深めました。

競走馬を支える多様な役割

配属後、当初イメージしていた業務内容との違いに驚きました。馬の日常診療は厩舎地区で開業する診療所の獣医が行うため、一般的な獣医の仕事とは少し異なります。競馬組合の獣医10名(2024年時点)の中には、獣医業務以外にも競馬開催時にレースの裁決業務や発走業務に携わる人もいて、競馬主催者職員として幅広い役割が求められます。

競馬開催時には、各所が連携しながら分刻みで進行するため、レースが滞らないよう迅速な判断と行動を心がけています。私の主な業務は、馬体検査と故障馬対応です。馬体検査では、レース前に出走馬に異常がないか確認し、故障馬対応では、レース中に故障した馬の状態確認と応急処置を行います。また、検査診断業務では、故障馬の休養期間や見舞金の支給を判断するほか、薬物検査のための血液採取や診断書の作成など多岐にわたります。

非開催時にも複数の業務を担っています。入退厩管理では、厩舎への馬の出入りの記録やワクチンの接種履歴を確認し、不足があれば開業医に接種依頼をします。防疫管理では、馬インフルエンザなど疫病予防のため、年4回、競馬組合と厩舎地区の獣医が分担して約700頭の馬にワクチンを接種します。さらに、競走馬の投薬チェックを行う薬物管理、厩舎地区の獣医関連施設の維持管理、誘導馬の健康管理業務にも従事しています。とりわけ、防疫管理と薬物管理は重要な業務です。ワクチン接種と衛生管理により競走馬を伝染病から守り、薬物投与歴の確認と定期的な厩舎巡回により、禁止・規制薬物を使用した馬の出走を防ぎます。

獣医になりたての頃は、馬との接し方や距離感を掴むのに苦労しました。1頭ごと性格が異なるため、厩務員さんに各馬の性格を尋ね、先輩に指導を受けながら徐々に感覚を掴みました。コミュニケーションを大切にしつつ、それぞれの性格を考慮しながら馬の負担を抑えた診察や処置を行うということを常に心がけています。

競走馬と競馬を守る使命を抱いて

競馬の開催は、主催者だけで成り立つものではなく、様々な関係者が携わることで完成する大舞台です。獣医として働く中で、競走馬の健康を守るためには、厩舎関係者をはじめ、多くの方々の協力が欠かせないと日々実感しています。何よりも馬が命を賭して走ってくれているからこそ競馬が開催できているという事実を忘れてはなりません。主催者獣医職は、業務を通じて競走馬の活躍を支えるとともに、薬物や疾病の予防という観点から競走馬を守る仕事でもあります。この点に一獣医として大きなやりがいを感じています。
入庁1年目には無敗の三冠馬が誕生する瞬間に立ち会い、その時のお客様の歓声や競馬場全体のお祝いムードに包まれた光景が今でも鮮明に印象に残っています。こうした感動を提供できるのも、多くの方々の支えと競走馬の懸命な走りがあるからだと感じています。私もこの舞台の一員として、少しでも貢献していきたいと思います。

馬と人に寄り添う、信頼される獣医へ

まずは、厩舎関係者の皆さんや同僚に信頼される獣医になることが私の大きな目標です。先輩と一緒に厩舎地区で診療にあたる中、先輩が厩務員の方に馬の疾患について、的確で分かりやすい言葉で説明する姿に触れ、今の私は経験や言語化する能力が不足していると感じました。そのため、私は診療技術と人馬双方とのコミュニケーション力の向上に取り組んでいます。具体的には、文献を読み込むことや学会への参加、外部講師を招いた研修を通して、馬の疾患に関する知識を深めています。また、コミュニケーション力を高めるために、日頃から聞く姿勢とわかりやすい説明を意識しています。こうした取り組みを重ねることで、馬と厩舎関係者に寄り添い、信頼に応えられる獣医を目指していきます。

メッセージ

競馬の魅力は、一頭一頭にストーリーがあるところです。勝つまでに苦労した馬もいたり、怪我を繰り返しながらも頑張る馬がいたりと、物語性があります。私自身、学生時代はほとんど馬と関わる機会がありませんでしたが、競馬との出会いをきっかけにこの世界に飛び込みました。新人研修制度も充実しているので、馬や競馬に少しでも興味があれば、ぜひ入庁を検討してみてください。公務員(特別区職員)ということもあり、残業が比較的少なく福利厚生も整っていて、恵まれた環境で働けていると感じています。

オフの過ごし方

基本的にはインドア派なので、休日はテレビで競馬観戦をしています。南関東3歳クラシック三冠達成の瞬間に立ち会えたミックファイア号には特別な思い入れがあり、今でも応援しています。他には、ゲームや昼寝をして過ごすことが多いです。仕事を終えて帰宅する際には、家族に最寄り駅まで迎えに来てもらうことがあるのですが、空気の澄んだ日は星が見えるので、一緒に星を眺めながら帰るのが最近の密かな楽しみです。